要点 


課題管理やプロジェクト管理に使われるJiraのCloud版(以後Jira)が無料になったため、プライベートのタスク管理方法をAsanaからJiraに移行しました。

サービス乗り換えのためのデータ移行には外部サービスのunitoを利用しましたが、使用感の満足度は7割程度でした。

そのためデータ移行は多発するわけでないので、Jiraが用意する機能を用いてマッピング設定を手動で頑張るのも有りだったかなと思いました。

またAsanaとJiraのサービス自体の比較では、UIの読み込み速度が速いAsana、自分にとって好みの機能と表示が可能なJira、とどちらも一長一短でした。JiraのもっさりとしたUI読み込みのパフォーマンスが改善することを期待しています。

はじめに 


JiraのCloud版が無料になりました。

TrelloからAsanaに乗り換えて、ここ数ヶ月はAsanaを利用していたのですが、仕事で好印象だったJiraにまた乗り換えることにしました。

JiraのCloud版はバージョンが上がってしまったため、以前はサポートしていた特定サービスからのデータ移行機能が無くなりました。代わりの機能としてCSVやJSONファイルからのインポート機能があるのですが、ファイルのフィールドとJiraのフィールドのマッピングを手動で設定していく必要がありました。

流石にそれはつらい…。そこで今回は外部サービスのunitoを利用してデータ移行を解決したので、その方法についての紹介をします。また今まで使ってきたTrello, Asana, Jiraについての所感を述べます。

タスク管理ツール 


タスク管理ツールは様々なものがありますが、私は学生の時にはTrello、仕事ではJiraを主に利用していました。また最近はTrelloからAsanaに乗り換えて利用していました。

私がタスク管理ツールに強く求める機能性としては、以下のとおりです。

  • 期日の設定
  • Dashboard上での視認性の良さ
  • タスク間の親子関係の設定と明瞭な表示
  • 日々のタスク設定だけでなく、中期的(2week~4week)なライフタスクの設定
    • 期間毎にライフタスクを設定し、区切り毎にDashboardを一新したい

Jiraは非常に合致していたのですが有料と思い込んでいたため、「タスク間の親子関係の設定と明瞭な表示」を求めてTrelloからAsanaに移行したのが数ヶ月前でした。 しかし実際に利用してみると、たしかにタスク間の親子関係を設定することが可能でしたが、Jiraのように親子関係のあるタスクの明瞭な表示をする事が出来ませんでした。Asanaは子タスクを示すアイコンを表示してくれますが、実際にどのような子タスクがあるかはDashboard上では分からず、タスクの詳細を見る必要がありました。

せっかくAsanaを使い始めたのにすぐ止めるのは勿体ないと、そのまま使い勝手を確かめるため利用し続けていましたが、JiraのCloud版が無料で利用可能と聞き、あっさり移行することにしました。

下記画像は私が求めていた、Jira上でのタスクの親子関係の明瞭な表示です。(某黒塗り文章化したら分かりにくくなりましたが…)

mapper

今まで利用して印象に残っているツールの特徴と他と比べた時の利点について以下で軽く記載します。

Trello 

6,7年前の個人のタスク管理といったらTrelloって印象があるぐらい勢いがあったような気がします。UIも味気ないタスク管理とは異なり、洗練されていました。今なおベンチャーなどでかんばんツールとして利用されていたりするので、安定感があります。

Asana 

JiraとTrelloの中間のような立ち位置です。Trelloほど簡潔ではないし、Jiraほどかんばんツールとして機能性があるわけでもないです。UIに遊び心が有り、チケットが完了するとキャラクターが飛ぶなどの演出があります。

Jira 

アジャイル開発用途で開発されかんばんツールとして洗練されており、タスクの視認性が高くて機能性も十分あります。デメリットとしてはTrello, Asanaと異なりIFTTTに対応していないため、非IT系の人にとって自動化の敷居の高さがあります。

また現在はリソースの読み込み完了に時間がかかるため、動作がもっさりしています。ただスマホ版は割と軽快な動作をします。

データ移行 


AsanaからJiraへのデータ移行は、AsanaにCSV, JSON形式データのエクスポート、JiraにCSV, JSON形式データのインポート機能があるため、それらを利用することができます。しかしAsanaのデータをJiraでインポートしようとすると、現在のJira Cloud版のバージョンでは外部サービス毎のインポート処理を用意していないため、画像のようにインポート対象の各フィールドがJiraでどのフィールドなのかマッピング作業をする必要があります。流石に手作業で設定するのは手間なので、unitoというウェブサービスを利用することにしました。

mapper

unito 

unitoは複数のマネージメントツールを同期してくれるウェブサービスです。組織間で異なったマネージメントツールを利用している際に、unitoを介在させることで情報を同期し、協業しやすくすることを目指しているようです。

unitoを発見した経緯はAsanaの質問フォーラムにあったJiraからAsanaに移行するための質問で、unitoが挙げられていたことです。unitoの公式HPを眺めた結果、AsanaからJiraでもイケるんじゃないかということで今回利用しました。

初耳のウェブサービスだったので軽く調べてみましたが、利用者数は不明瞭ですが、unitoはJiraのマーケットプレイスの登録と、Asanaのアプリとして登録されているようです。Twitterのアカウントを見る限りだと、フォロー約900、フォロワー約800なので、発展途中のようです。

下記は実際にunitoで同期した際の画面です。

sync

移行結果の問題点 

今回はAsanaのプロジェクトをJiraの次世代型プロジェクトのソフトウェアプロジェクトにデータ移行しましたが、ある程度は成功しました。

Asanaにはスプリントの概念が存在しないので、スプリントを扱うことが出来ませんでした。実際にデータ移行をするとAsanaの未完了タスクと、完了済みタスクは以下のようになります。

  • 未完了タスク
    • Backlogに積まれる
  • 完了済みタスク
    • Backlogに積まれず、スプリント情報も付与されない

ユーザ関連では、コメントやReporterのユーザの紐付けは成功したのですが、Assigneeに関しては空ユーザとなってしまいました。

親子関係のあるタスク関連では、Asanaにおけるタスクの親子関係をJiraに移行できず、子タスクが消失した等々の問題がありました。

時刻関連では、Asana上でチケット作成やコメントをした時などのタイムスタンプが、Jira上では移行時の時刻に変わってしまいました。

unitoの総括 

unitoは成長中のウェブサービスだと思うので、今後に期待したいと思います。ただunitoに委譲する権限が非常に強く、仕事観点だと「組織の情報を外部サービスに晒す」「万が一データ破損した場合に備え、高頻度のデータバックアップを自分たちで行っておく必要がある」「データ同期の整合性の担保」といった課題が多く、実務に投入するための敷居は高いと考えています。

おわりに 


タスク管理ツールをAsanaからJiraに移行し、データ移行にはウェブサービスのunitoを利用しました。

データ移行時にAsanaの子タスクが移行されず消失してしまったりと、完全なデータ移行を求めている場合は、現時点では採用が難しいです。割り切りが出来るのであれば、強力な権限を委譲する事に対するリスクなどを加味した上で利用するのは有りです。

ですがサービス乗り換えのためのデータ移行だけが目的なのであれば、データマッピングさえ手動で頑張れば、ウェブサービスを介さなくても可能なので、腹をくくって手動で行うのも有りだと思います。

(この記事の執筆以降にunitoの様々な不満点が改善されている可能性があるので、適宜調査することをお勧めします。)

タスク管理サービスを乗り換えてからの印象ですが、パフォーマンスのAsana、機能性と表示性のJiraで一長一短です。Jiraのスマホアプリは動作は軽く、また買い切りソフトウェアの選択肢も存在しますが、Cloud版のWebを操作する事が多いので暫定ではこの評価です。